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2012年 伝統繊維研究 体験学習 <越後アンギン>
開催日時:2012年8月8日(水)~8月11日(土)
開催場所:新潟県十日町市博物館、及び周辺地域
8月初旬、新潟県十日町にて越後アンギン伝承会の皆さんによる体験学習会が行われました。
アンギン体験学習会は、毎年夏の時期に行い、今年で9年目を迎えます。
アンギン学習会の編衣(アンギン)とは、縄文時代前期(約6000年前)の地層から出土した、日本最古の布であり、
イラクサ科の苧麻(からむし)から作られた、最も古い衣服例としてあります。
この学習会で学ぶことは、アンギンという日本最古の布の成り立ちと技術、そして、実体験すること、また現地でお世話になる越後アンギン伝承会の方との交流の中で生まれる人とのふれあいの素晴らしさです。
<越後アンギン講習会>
十日町の季候や風土を始め、越後アンギンの歴史についてアンギン伝承会の会長である小林氏よりご説明いただきました。
<綯うことを習う>
アンギンを制作するにあたって、最も重要である「綯う」という事を学びます。
伝承会の桾沢氏より繊維を綯う講習を受けました。はじめに藁を使って綯う練習を行い
続いて細い繊維の苧麻を綯います。
学生達は丁寧にご指導いただき、少しづつ綯えるようになりました。
<苧麻(からむし)の刈り取り>
十日町の山道に入り、この地域に自生する苧麻を一本一本刈り取ります。
<皮剥ぎ>
刈り取った苧麻の束。
苧麻の皮きれいに剥し、水に浸したものからヘラを使い繊維を崩さないよう、丁寧に取り出していきます。
<越後アンギン体験学習>
伝承会メンバーの大島氏より、アンギンの制作工程や編機の構造について説明していただきました。
いざ、コースター作りに挑戦。
伝承会の方々が学生1人1人の隣に座り、技術の事だけでなく、日々の暮らしの事や、昨日の出来事など話をしながら、布作りを教えてくださいました。
<越後アンギン体験学習2>
伝承会の方々に教えていただきながら、アクセサリーやポーチなど自分で考えたデザインを2作目に制作します。
<制作発表>
出来上がった編布の制作について発表する、嬉しそうな学生達です。
越後編布学習会から生まれつながること
また夏が訪れました。しかし昨年の夏とも一昨年とも、勿論、異なる夏が毎年来るのです。何を言っているのかと、お感じになると思いますが、毎夏の虫の音を聞くたびに、蝉の音を聞くたびに、いつもと同じ虫の音だと思うのではなく、昨年とは異なる新しい生命が響いている、いつからか、そのような事に思いを馳せるようになり、夏の夜に虫の音を聞く感動が
一段と深まった気がしています。
今年も女子美術大学の衣服を学ぶ7人が、編布(アンギン)学習会を受講させていただきました。編布とは日本最古の布制作技術の一つで、周辺地域に自生していた苧麻等を編み、身に纏ったと言われています。
人は6千年以上に渡り、毎夏に繁茂するこの植物を刈り糸を作り、大切な人を包んできました。言い換えるならば、
毎年、繁茂する苧麻をいつものように手を加え繋いできた「人の生きるための営み」でもありました。
「いつもの事が続く」、私はそんないつものことが続くことは、なんと大変であるということ、
そして、なんと幸せであろうかということを毎年、この編布学習会を体験するたびに強く心に感じています。2003年から始めた本学習会を受けた者は、既に100人近くになります。彼らは現在、日本のみならず海外で暮らし、この日本の根源的な布作りの体験を通して
得た人が生きる意味を宿しながら過ごしていると思います。
今年も素晴らしい機会を与えてくださった十日町市博物館、越後アンギン伝承会の方々のご指導とそのお心に、深く感謝を申し上げます。
女子美術大学・大学院教授 眞田岳彦
【学習会に参加した学生の感想】
博物館で、縄文人の雪国での厳しい自然に生き抜く知恵、火焔型土器から感じる文化に圧倒されました。また、棚田の情景や杉林の迫力と美しさが忘れられません。その全てには祈りがあるように思えました。どうしようも出来ない大きな力の中で人々が人々の幸せを願い、一瞬一瞬に感謝していたのではないでしょうか。
アンギン体験では、当時の人が生き抜こうとする力強さと願いを、身をもって感じられました。同時に、伝承会の皆様との触れあいの中で、縄文時代のアンギンが、人の心を通して現在に繋がっていく感動を覚えました。見えないですが感じられる心こそが次へ繋がっていくように感じました。
女子美術大学 大学院 眞田岳彦研究
曽我真奈美
新潟県十日町市で日本最古の布である越後アンギンを、自生している苧麻を刈り取り繊維にし、編むという一連の工程から学ばせていただいた事で、布を編むという事が本来どんなに根気のいる作業であるのかを痛感しました。又、お世話になったアンギン伝承会の方々がこの文化を絶やすことなく年々新しい試みを取り入れながら守り続けておられる事に感激しそれによって縄文が今もなお私たちの中で生きた文化であるように感じました。
今回の体験学習を通して、新たな物を創るには過去を振り返り学ぶ事がとても大切であると改めて気付かされたような気がします。
女子美術大学 大学院 眞田岳彦研究室
橋本亞里須
人が物を作る時、自然の中から素材やアイディアを頂き、そして自然を大切にする気持ちが強くあるということを身をもって経験できました。
女子美術大学4年 下川 由梨子
生きるための知恵を生み出す苦労が感じ取れました。そして、その時間は命の重みを感じるために現代にも必要だと思いました。
女子美術大学4年 池田 南美
今回の学習会に参加して物作りの大変さはいつの時代も同じであり手間をかけるとは何かを改めて学んだと思います。楽しかったです。
女子美術大学4年 小林 薫
たくさんの新鮮。十日町を心から全身で思いっきり感じることができました。私はその感動を大切にしていきたいと強く思いました。
女子美術大学4年 吉沢 智美
次々と消費していくばかりの現代、しかし物作りは、一つ一つの行程がどれだけ大変であり大切であることなのかを知ることができました。
女子美術大学4年 菊池 麻未
越後アンギン伝承会の皆さま、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
【参加者】
眞田岳彦、二宮とみ、山本佳那、曽我真奈美、橋本亞里須、下川由梨子、池田南美、小林薫、吉沢智美、菊地麻美
開催日時:2012 年7 月5 日( 木) ~ 8 日( 日)
会場:Parc des Expositions de Paris-Nord-VillepinteBooth:stand BH50
ジャパンエキスポでは、会場内の女子美ブースを担当する教員やスタッフの衣装をデザインし、制作しました。
女子美のシンボルマークである八咫鏡をモチーフに、女子美を纏う女子美カバーとして制作しました。
http://www.joshibi.net/media/manga/je.html
浴衣の生地に八咫鏡の模様を取り入れ、袖は振袖の丈とし、オリジナルな浴衣をで制作しました。
帯にも八咫鏡の女子美ロゴマークを入れました。
この衣装は、はじめ女子美よさこいチームの衣装としてデザインしましたが、素材を変えてパリに行くことになりました。
生地には八咫鏡の模様を白抜きで入れ、着るとフード付きの法被となり、タスキをかけることで気合が入り、踊りに躍動感が出ると思いました。また、広げると八咫鏡の形になります。
衣装に合わせて巾着袋も同じ生地で制作しました。
これもまた広げると八咫鏡の形になります。
女子美術大学 大学院 美術研究科
デザイン専攻 ファッション造形研究領域
小倉文子研究室 修士2年 大島 舞香
このプロジェクトは、丹後織物工業組合様より丹後ちりめんの素材をご提供いただき、
女子美術大学の学生、卒業生がデザイン,染め、縫製、プリント等で風呂敷の形に仕上げて、一人一人が手描きのメッセージを添え、以前から交流があった岩手県宮古市田老地区の避難所にお贈りすることを目的として企画されました。
短大のテキスタイルデザイン、学部のメディア表現領域、ファッションテキスタイル表現領域の学生が参加し、2回に分けて300枚の風呂敷を避難所にお贈りしました。
<第1回目>では、ファッションテキスタイルからは学生5名が参加し、各々シルクスクリーンやミシンワーク、手縫いの手法で制作しました。
<第2回目>ではデザイン学科環境計画専攻の卒業生達がデザインを検討、パーツを自宅で制作し大学に送り、メディアとファッションの学生がそのパーツをふろしきに縫い付けて完成させました。女子美特製のタグを付けふちの始末をしたものに、染めつけた風呂敷にちりめん細工の飾りをつけるなど様々な工夫が凝らされています。
参加した学生は「一人では出来ないことなので、この取り組みに参加出来て良かったです。」「私たちが作った風呂敷で被災地の方に想いを伝えることが出来れば嬉しいです。」「年末に少しでも暖かい気持ちになってもらえれば」と口々に話していました。
1回目に完成した風呂敷
2回目に完成した風呂敷
制作風景
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