平成24年度パリ賞受賞の井上織衣さんにパリでの暮らしを紹介していただきます。
現在、Grand Palais(グラン・パレ)で開催されている展覧会、
Edward Hopper(エドワード・ホッパー)を見に行ってまいりました。
彼の作品をまとめて見るのははじめてです。
Summertime, 1943 – Edward Hopper, Delaware Art Museum,
Wilmington, USA / © Bridgeman 2012
白いワンピースの女性には美しく光が差し込み、一見穏やかなようですが
カーテンの隙間やドアの向こうの暗闇によって不気味な印象を与えます。
Edward Hopper, Chop suey,
Collection de Barney A. Ebsworth © Collection particulière
人物は上半身が白く描かれ、目には光がなく、まるで死人のように感じます。
人々の目線は皆ばらばらでもうひとつの世界のにいるような。
Edward Hopper, Night Shadows, 1921, Philadelphia Museum of Art
: Purchased with the Thomas Skelton Harrison Fund, 1962
© Philadelphia museum of art
イラストレーションはどこか映画や写真のような切り取り。
キャロル・リードの『第三の男』が思い浮かびました。
もしくはヒッチコックの映画のようにも感じます。
Edward Hopper, Nighthawks (details), 1942,
Friends of American Art Collection © Art Institute of Chicago
彼の作品には幕の閉じられた舞台がしばしば描かれておりますが、
亡くなる直前に描いた、ふたりのコメディアンが
堂々と晴れ晴れしくたたずんでいる作品に、はっとしました。
展示は2013年1月28日まで。
井上 織衣
Orie Inoue
2008年女子美術大学大学院修了。ファッション造形学科専任助手を務めた後、インスタレーション・イラスト・アニメーションなどの様々な媒体を通したアーティスト活動を行う。
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