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けむしとパリ

 

平成24年度パリ賞受賞の井上織衣さんにパリでの暮らしを紹介していただきます。


サヴォワ邸

パリから電車で30分ほどの場所にポワシーという街があります。

駅から歩いて20分もすると、よく教科書で目にしていましたスイスの建築家

ル・コルビュジエのVilla Savoye(サヴォワ邸)が佇んでおります。

中に入ると、まずは青い壁に黒いソファ。

天にも昇るような座り心地。

自然光がやさしく入り込むバスルーム。

ガラス張りの屋上から。外と中が交差します。

さまざまな隙間に人が見え隠れするのはとても興味深いです。

彼のデザインは人が住むことで活きるのだと実感しました。

ひらけた屋上の正面には大きなガラス張りの部屋。

キッチンの流し。気持ちよく料理ができそうです。

排水溝にも白いタイル。

電気のスイッチのデザインもすてきです。

帰り際に出会いました、Gendarme(ジョンダルム)という虫。

この虫も人も、みんな暮らしの場所を見つけているのですね。

わたしはこの先どの国に、どの街に、どんな家に住むのでしょう。

そんなことを考えながら、夏の夕暮れをぼんやりと眺めていました。

森からサヴォワ邸のドアまでコマ撮りしました。

12.08.30

シュヴァルの理想宮

フランス南東部のリヨンからほど近い街、サンヴァリエ。

前から気になっておりました、Le Palais Idéal de Ferdinand Cheval

(シュヴァルの理想宮)を見に行ってまいりました。

1879年のある日、郵便配達員のフェルディナン・シュヴァル氏が

いつものように仕事をしていたところ、石につまずいてしまいました。

そのふしぎなかたちの石に魅了され、33年の月日を経てこの城塞が完成したそうです。

その姿はまるで生きもののようです。

外にも中にも、彼の残した多くのメッセージが刻まれております。

鳥のような魚のような羊のようなヘビのような。

そんな生きものの姿が随所に見受けられます。

« 生命の泉で、わたしの才能を描いた »

彼は、農民階級の中にも天才が存在したことを証明したかったのです。

自分の棺をここに納めたかったのでしょうか。

命が宿っているかように、彼の訴えをひしひしと感じました。

照りつける日差しがくっきりとかたちづくる影を見ながら。

12.08.27

イタリアの旅

先月は1週間、イタリアへ行ってまいりました。

レッコ。この湖は人という漢字のかたちをしたコモ湖です。

岩山がそびえたち、澄みわたった空気があたりを満たします。

お花のゆびわをつくってみたり。

ベルガモ。ケーブルカーでのぼり、丘から見下ろす家々。

壁を這うトカゲ。

水の都、ヴェネツィア。ほんとうに美しい街です。

太陽がまぶしく、景色の輪郭をくっきりと際立たせてくれます。

パリでは見かけない洗濯物のある風景。

はためく生地たちが、新鮮でなんとも美しいのです。

マルシェには魚と同じ感覚でカタツムリが売られておりました。

調理されたものをいただきましたが、

少々苦みのある、おつまみといったところでしょうか。

蜂が魚にくちづけをしているところ。

そしてミラノ。すてきなインテリアショップ、

ROSSANA ORLANDIへ。お庭に広がるぶどうの樹。

すすで汚れた工具は、なんとチョコレートでできておりました。

そして、Astier de Villatteのお皿。

温かい心に触れ、人びとの笑顔を抱きしめて、

輝く星くずを拾い集めるような、そんなちいさな旅でした。

12.08.05

アート・デザイン表現学科 ファッションテキスタイル表現領域 女子美術大学

アート・デザイン表現学科 ファッションテキスタイル表現領域 Field of Fashion and Textile
けむしとパリ プロフィール

井上 織衣
Orie Inoue

2008年女子美術大学大学院修了。ファッション造形学科専任助手を務めた後、インスタレーション・イラスト・アニメーションなどの様々な媒体を通したアーティスト活動を行う。


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»井上織衣
(2012〜2014)