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平成24年度パリ賞受賞の井上織衣さんにパリでの暮らしを紹介していただきます。
パリはここ1〜2週間で寒さが増し、いよいよ冬が到来しました。
2014年12月6日より2015年2月28日まで、ベルギーのブリュッセルにてグループ展に参加いたします。
ジャーナリストのためのプレビュー:2014年12月6日(土)18:00より
オフィシャルヴェルニサージュ:2015年1月15日(木)18:00より
Exposition Collective #1 – Galerie Intuiti Bruxelles
6 décembre 2014 – 28 février 2015
Preview // 6 décembre à partir de 18h
Vernissage officiel // jeudi 15 janvier à partir de 18h
Galerie Intuiti Bruxelles
Rivoli Building – Ground floor #15-16
690, chaussée de Waterloo
1180, Bruxelles
● ARTHUR AESHBACHER ● ANDRÉ PIERRE ARNAL ● GUILLAUME AUBRY ● ELVIRE BONDUELLE ● FILOMENA BORECKA ● ROB BUELENS ● ALDO CAREDDA ● PIERRE CLERC ● ADRIEN DAX ● MARC DEL PIANO ● ELZO DURT ● MICHÉLE GIGNOUX ● PATRICE HAMEL ● TSUYOSHI HIRANO ● ORIE INOUE ● MICHÈLE KATZ ● IDA KARSKAYA ● LENE KEUNEN ● JIRI KORNATOVSKY ● CLAUDE LAGOUTTE ● AMANDINE LEVY ● CHRISTEL MORTIER ● KOEN MULLER ● LÉA NAHON ● VINCENT PEAL ● BERTRAND PLANES ● CHRISTIAN ROSE ● EMILIE SÉVÈRE ● PHILIPPE SOUSSAN ● EDOUARD TAUFENBACH ● TRISTAM ● ANDRÉ VILLERS ● PHILIPPE WATY ●
フランスの高速鉄道(TGV)はフランス国内だけでなく、
イタリア、ドイツ、スイス、スペインなどの近隣国を結ぶとても便利な列車です。
わたしも時々TGVに乗るのですが、先日、乗り換えた先の列車を電光掲示板で探しているところ、
突然、SUPPRIMÉ(取消)のサイン。このようなことがよくあるのがフランス。
その後インフォメーションの窓口のあたりには、乗れなかった乗客たちの苦情が飛び交い、
ある男性は「あり得ないよ!」と何度も言いながら、顔を赤くして激怒しておりました。
そういった遅延による対応として、非常食を配給します。その中身がこちら。
ツナのサラダと焼けたプチパン、ドライフルーツ、コンポート、クッキー、クレームショコラなどに加え、
小さな色鉛筆とぬりえなどのページが挿まれた小冊子。
わたしが受け取った非常食はこども向けのものだったようですが、
色鉛筆やぬりえまで入っているなんて、まさにフランスならではの発想です。
そんな旅路で、窓から見えた気球。パリ、今日は風が強くて涼しいです。
今冬のパリには厳しい寒さが訪れず、すでに春のようなあたたかな毎日です。
桜が咲き、並木道には花のよい香りと、遠くに鳥のさえずり。とても気持ちがよいです。
さて。3月21日から27日まで、パリはポンピドゥーセンターにほど近い、
Galerie Métanoïaにて行われるグループ展に参加いたします。
以前のコンペで選抜されたアーティストで結成した«SOLELUNA»というメンバーによる最初の展覧会です。
森で採取した根を使った新作を発表いたします。どうぞよろしくお願いします。
会期 : 2014年3月21日〜27日
レセプション : 3月21日(金) 18:00〜
Galerie Métanoïa
56, rue Quincampoix 75004 Paris
月曜日〜土曜日の13:30〜18:45
2月13日〜15日、ドイツはベルリンに行ってまいりました。
飛行機で約2時間。電車で行くよりも安くて早いのです。見上げた空には、イルカが泳いでおりました。
ポツダム広場で友人と待ち合わせたのち、数カ所に位置する映画祭の会場を案内していただきました。
見上げた天井は、まるで飛んでゆけそうなデザイン。そしてめずらしく青空。
乾杯。ビールの味くらべをしました。
アイスバイン。骨付き豚肉を煮込んだお料理。
フランス料理にも似たものがありますが、それを豪快にした印象。
シュラハトプラット。フランス料理でいうところのシュークルート。
酢漬けのキャベツの上にソーセージやハムがどんと乗っております。
旅のメインはこのベルリン国際映画祭でした。
数本の短編映画とフランス映画を鑑賞。夜はパーティー。この場所に来れましたのは友人のおかげ。
彼はこのホームページ制作も担当してくださっております、大須賀政裕氏。
映画祭にノミネートされた作品『rhizome』の予告編はこちらからご覧いただけます。
翌日は、お昼過ぎからギャラリーを巡りました。
ひたすら歩いて時々メトロ、たくさんの作品を拝見しました。
夜はアルゼンチン料理のあと、映画を一本鑑賞。
翌日。ホロコースト記念碑。
虐殺されたユダヤ人のための記念碑ですが、悲しい歴史と相まって、写真撮影やかくれんぼをしていたり。
そうさせる空間のつくりがまたいいなと思いました。
床が波打っており、中心あたりは人がすっぽり隠れられる高さです。
大きなドームに興味惹かれて、見つけたのは国会議事堂。
その前に広がる大きな広場。あらためて感じる土地の広さ。
お昼にカレー・ヴルスト。ケチャップが大量です。
焼いたソーセージの上にケチャップとカレー粉がかかっております。
すっかり人に慣れてしまったリス。動物たちも国によって性格が異なる気がします。
パリのすずめや鳩はぶつかりそうに飛んできますが、こちらはそうでもないようです。
パリの歴史的な建物とは違ったおもしろみを、ベルリンの建物から感じました。
曇り空に調和した色合いもすてきです。
先っぽの色合いから京都タワーを思い出しました、テレビ塔。
壁跡で歴史を見ました。当時の映像、音声が響きます。
壁を上から見たときに、遠くに見つけたお墓。
墓石も小さく、緑の木々が嬉々としてたたずんでおりました。
短いベルリンの旅でした。おわり。
年末年始は、家族とともに過ごしました。
この時期、フランスでは一般的に、カキやフォアグラ、エスカルゴなどと一緒に乾杯します。
フォアグラには、いちじくジャムをほんの少し乗せ、塩・胡椒をふるととてもおいしいのです。
遠いところから来てくれた家族と一緒に過ごせるなんて、
新しい年のしあわせな幕開けに心がはずみました。
フランスのヴェズレーとディジョン、ジュラの旅。
遠くの丘の上、ブルゴーニュ地方のヴェズレーという街。
丘にたたずむ、サント=マドレーヌ大聖堂。
世界遺産にも登録されている美しく歴史的な教会です。
各々の柱には彫刻が刻まれており、
人や怪物がおりなす様々な物語をイメージしました。
外壁の上を見上げますと、おもしろい顔がたくさん並んでおります。
同じ顔はひとつとないのです。
夕日が差し込み、遠くから聞こえる誰かのギターの音が
なんともすてきな空間をつくっておりました。
移動中に少しだけ立ち寄りました、ディジョン。
そろそろと走り寄ってきました、白い馬。
別れ際、歯を剥き出しにし、まるで笑っているような顔をして。
シャトーシャロン。静かにたたずむ教会。
時間が止まってしまったかのような朝。ひとけのない美しい村。
雨も降らず、あたりは冬の太陽のあたたかな光に包まれておりました。
新年あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
寒さが増し、雨と強い風の吹く夜。パリの秋はいっそう深まってゆきます。
先日まで参加しておりましたグループ展は無事に終了いたしました。
オープニングには多くの方に来ていただき、大変賑わっておりました。
投票式のコンペティションでもありましたこの展覧会。
作品数およそ200点の中、みなさまのおかげでパブリック賞を受賞し、
次回もまた展示をさせていただけることになりました。
買い物帰り、パニエに摘んだ秋のかけら。
音楽を奏でているような美しい自然の色に、なんとも優しい気持ちになりました。
部屋の窓からのぞめる風景には、色づく森と曇り空が広がります。
喜びと悲しみが同時に沸き上がる感情のように見えました。
季節の変化を日々愛おしく思いながら、またつくり続けます。
いったん寒さがおやすみをしている、秋のパリ。
樹木は紅葉し、美しいグラデーションをつくっております。
さて。11月1日から14日まで、ポンピドゥー・センターからほど近い
日仏ギャラリーにて、グループ展に参加いたします。
およそ100人ほどの作家の作品が展示される予定です。
今回はこのシリーズの新作を発表いたします。
みなさま、どうぞよろしくお願いします。
UN SEUL GRAIN DE RIZ
Du 1er au 14 Novembre 2013
Vernissage: Samedi 2 Novembre à 18h
Soirée de clôture et de remise des prix: Mercredi 13 Novembre à 18h
Heures d’ ouverture: 13:30 – 18:45 du lundi au samedi
56 rue Quincampoix 75004 Paris
Métro: Les Halles, Rambuteau, Hôtel de Ville
ここ数日は真夏のような気温のパリですが、
少しずつ紅葉してきた樹木が秋を感じさせてくれます。
さて。大変遅くなりましたが、7月末に終了しました、
ふたつの展覧会につきましてのご報告です。
5月からおよそ2ヶ月間、パリのギャラリーでグループ展に参加しておりました。
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Cabinet Da-End 03
Exposition du 21 mai au 20 juillet 2013
Galerie Da-End, 17 rue Guénégaud 75006 Paris
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6区はポンヌフ付近の、Galerie Da-Endにて。
40名ほどの作家が参加いたしました。オープニングでは、
Nobuyoshi Asaiさんによる舞踏パフォーマンスがございました。
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CABINET DE CURIOSITÉS: L’ÉCHO DU VIVANT #1
Exposition du jeudi 23 mai au samedi 27 juillet 2013
Galerie Mademoiselle Lang, 44/46 rue de Tourtille 75020 Paris
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20区のチャイナタウンに位置するギャラリーでは、10名での展示。
平面、立体、ビデオアート、インスタレーションなどの作品が並び、
レセプションパーティーではたくさんの人で賑わいました。
パリ中心部から電車で40分ほどの場所にあるヴェルサイユ宮殿。
先日、宮殿で開催されている展覧会を見に行ってまいりました。
展示作家は、イタリアの美術家ジュゼッペ・ペノーネ。
金色の木が、木の皮の服を着ているようです。
金色の皮膚が夕日にあたり、まぶしく輝いておりました。
逆さまに立つ木の根から植物が生えております。
バランスの滑稽さ、そしてそのシルエットに見とれました。
夕暮れ時、長くのびた影で遊ぶ友人。
途中、夕日が遠くに美しいもやをつくっておりました。
作品が少なくてがっかりしていた矢先、展示のサインを発見。
迷路のような道を通り抜け出た広場。
石と踊っているような木々が、ひっそりとわたしたちを迎えてくれました。
そしてこちらは、ブロンズで木を模刻した作品。
中を覗くと、光が生きていました。
ふと上を見ると、カラスが羽を休めております。
彼にとってはただの木なのか、わたしたちが概念をつくっているのか。
自然の中の展示なので、自然そのものの捉え方が変わってきているのを実感しました。
20時半。閉館まぎわのヴェルサイユ宮殿にさようなら。
Penone Versailles
2013年6月11日〜10月31日
Le Château de Versailles ヴェルサイユ宮殿
パリはいま、日本の夏のような気温。
たびたびの雷雨のおかげで、少しやわらいでおります。
7月14日はフランス革命の記念日。
この日は軍事パレードや空軍のアクロバット飛行、花火大会などが行われます。
そして消防署もダンスパーティー会場になります。
その2〜3日前から、若者は深夜にバクチクを鳴らしていました。
わたしは友人たちと公園でピクニックしたのち、
モンパルナスの路上に座り込んで花火を拝見しました。
振り返ると、たくさんの人が路上を埋め尽くしておりました。
昨年の秋、レストランでイランのおばあちゃんと知り合いました。
時々一緒にギャラリーに行ったり、お茶をしたりしています。
3月20日がイランの旧正月だとおっしゃっており、
先日は旧正月にちなんだコンサートに招待してくださいました。
哀愁漂う曲からはじまり、最後は踊りだす観客もおりました。
寒い冬を乗り越えた先に、芽吹く草花。
春のおとずれに感謝を讃える、イランの歌でした。
2月下旬。フランスはモンブランにほど近い、ジュラに行ってまいりました。
友人のご家族があたたかく迎えてくださり、輝かしい日々を過ごせました。
美しく色あせた自然の色。
植物は枯れた姿のほうが美しく存在しているように思います。
ごろんと寝そべった丸太も作品のひとつのように。
膝まで積もった雪の中を走り回り、大きな雪だるまをつくりました。
かまくらのうえで寝転んで見えた景色。
やさしい白い馬。
日が沈む頃を、フランス語で”犬とオオカミのあいだ”といいます。
ジュラのまち。遠くの空からは天使のはしご。
自然のなかを駆け巡り、インスピレーションをたくさん受けた旅となりました。
2月10日はFête du Printemps(春節)と呼ばれる、
Nouvel an chinois(中国の旧正月)の日でした。
雪の降る中、色とりどりで華やかなパレードを拝見できました。
大きな龍が空を舞い、女性たちは踊り、あたりには「あけましておめでとう!」
の声と爆竹のにおい、そしてカラフルな紙ふぶき。大胆なお化粧と衣裳。
中国の力強さを肌で感じました。
このイベントは本日まで、パリのいたるところで開催されたようです。
長い準備期間の中で、言葉や文化、思考や感覚などの
ちいさな問題に幾度か直面しましたが
それらの相違を乗り越え、無事展覧会がはじまりました。
今回は母の願いを叶えるべく、着物をきてみました。
着方のある服は大変興味深いですし、何よりも気持ちがすっとして好きです。
おかげさまでオープニングにはたくさんの方がいらしてくださいました。
支えてくださったみなさまに感謝しております。
会場のようす。
上からプロジェクションしたアニメーション。
二作品を展示しております。
台湾のアーティストの作品。
展覧会は4月7日まで開催しておりますので
引き続きよろしくお願いいたします。
気がつけばもう2月。パリは雨の毎日です。
雨の日は気温が上昇して過ごしやすいのですが、
冬は日照時間が短いので太陽が恋しくなります。
ここ数週間は、日々制作と展示作業に明け暮れておりました。
次の展覧会のお知らせをさせていただきます。
“CLIN D’ŒIL” du calendrier lunaire/nouvel an chinois
招待作家 : Tsai Chia-Wen, Orié Inoué
会期 : 2月8日(金)〜4月6日(土)
会場 : Galerie Mademoiselle Lang 44-46 rue de Tourtille, 75020 Paris
レセプションパーティー : 2月7日(木) 18:30より
« C’est Peut-être Une Chanson » © Orié Inoué
『それは歌かもしれない』
« C’est Peut-être Une Chanson » (une partie) © Orié Inoué
『それは歌かもしれない』(部分)
月日の流れはほんとうに早いもので、もう1月ですね。
わたしは新しい年を友人とフランスの田舎で迎えました。
パリからほど近い場所ですが、すこし離れるだけで
そこには静かな美しい自然が待っておりました。
へんてこりんな地図を持って電車に乗り込みます。
31日〜1日は無料乗車できるということでしたので、気分はるんるん。
パリで購入した牡蠣やシャンパンも一緒に。
駅から歩いて40分。大きな古いお屋敷に到着しました。
わたしたち以外は誰もいませんでしたので貸し切り状態です。
夜空にちりばめられたたくさんの星。
暖炉に薪をくべようかと、お庭から薪を持ってきます。
部屋がぐっとあたたかくなりました。
そして、0時とともにシャンパンで乾杯をしました。
牡蠣もチーズもソシソンもすべておいしくいただきました。
トランプで遊んだり。
ろうそくのあかりを頼りにお屋敷内を探検したり。
バードウォッチング用の双眼鏡で覗いてみたり。
そして部屋の中まで。
翌日、みずみずしい光がわたしを起こしました。
起き抜けに見ました窓から見た風景。
この美しい風景に心が洗われるようでした。
近くに川が流れていて、聴こえるのはキツツキの音、鳥の鳴き声、朝つゆの滴る音。
邪魔な音がひとつもなく、すべてが生きた音でした。
あけましておめでとうございます。
みなさんにたくさんのしあわせが訪れますよう。
クリスマスはイルミネーションで街中が輝きだすパリの夜。
今回はショーウィンドウとイルミネーション特集です。
絵画と組み合わされた、エルメスのディスプレイ。
光沢のある生地や装飾的な額縁から、上品な雰囲気が漂います。
ギャラリー・ラファイエット。
この全体を覆う細長いライトが7色に変化します。
そして、プランタン。
プランタンの今年のショーウィンドウを飾ったのは、ルイ・ヴィトン。
からくり人形が動き続け、ダチョウもゆっくりとまわっております。
くまは腕が上下に動き、こどもたちも釘付けに。
ディスプレイに見入る恋人たち。
そして家族。
こちらの静かな通りにもイルミネーション。
バス停にある広告は、ランコムの香水。
クリスマスにいたるところで見られるMarchés de Noël(マルシェ・ド・ノエル)。
日本でいう屋台といったところでしょうか。
クレープやチュロス、ホットワインなどの飲食物のほかに、
ハーブやスカーフなどなど、たくさんの商品が売られております。
こちらはめずらしいホットビール。
味はというと.. ご想像どおり、今ひとつ :^)
人形売りのおじさんとおばさん。どこにいるかわかります?
クリスマスは日本でいうお正月に近いもので、人々は家族と過ごします。
24日の0時頃にはノートルダム大聖堂でミサが行われておりました。
たくさんの人々で溢れ、大聖堂の外にも賛美歌が聴こえてくる、
そんなクリスマスでした。
現在、Grand Palais(グラン・パレ)で開催されている展覧会、
Edward Hopper(エドワード・ホッパー)を見に行ってまいりました。
彼の作品をまとめて見るのははじめてです。
Summertime, 1943 – Edward Hopper, Delaware Art Museum,
Wilmington, USA / © Bridgeman 2012
白いワンピースの女性には美しく光が差し込み、一見穏やかなようですが
カーテンの隙間やドアの向こうの暗闇によって不気味な印象を与えます。
Edward Hopper, Chop suey,
Collection de Barney A. Ebsworth © Collection particulière
人物は上半身が白く描かれ、目には光がなく、まるで死人のように感じます。
人々の目線は皆ばらばらでもうひとつの世界のにいるような。
Edward Hopper, Night Shadows, 1921, Philadelphia Museum of Art
: Purchased with the Thomas Skelton Harrison Fund, 1962
© Philadelphia museum of art
イラストレーションはどこか映画や写真のような切り取り。
キャロル・リードの『第三の男』が思い浮かびました。
もしくはヒッチコックの映画のようにも感じます。
Edward Hopper, Nighthawks (details), 1942,
Friends of American Art Collection © Art Institute of Chicago
彼の作品には幕の閉じられた舞台がしばしば描かれておりますが、
亡くなる直前に描いた、ふたりのコメディアンが
堂々と晴れ晴れしくたたずんでいる作品に、はっとしました。
展示は2013年1月28日まで。
先週末、ブルターニュ地方のLannion(ランニオン)
5月に電車内で知り合った芸術哲学者のMuriel(ミュリエル)が
なんと、ぜひうちにおいでと招待をしてくれたのです。
アーティストのHannaと一緒にパリから電車で4時間、
途中に雨をとおりぬけて到着いたしました。
7歳の息子、Milliau(ミリオ)と手をつないでMurielが待っていました。
会うのが二度目とは思えないほど、親しみを感じます。
この日は残念ながらカメラを忘れてしまったため、写真提供はHanna。
Granit rose(グラニ・ローズ)という、バラ色の花崗岩でできた石を
拾いながら歩きました、Côte de Granit rose(コート・ドゥ・グラニ・ローズ)と呼ばれる海岸。
バラ色の大きな岩が幾重にもかさなり合い、極めて大規模な彫刻を成しており、
そのバランスとかたちに圧倒されました。
自然がつくりだす芸術の神々しさに、一瞬で言葉を失いました。
●
お家に到着すると、そのすべてをパートナーのLawrence(ロランス)が
作ったというので、思わずため息が出ました。
木造で吹き抜けのひろがりが快適。すばらしいです。
そして4歳の弟、Liam(リアム)にも会いました。
ふたりともすこし恥ずかしがり屋でかわいい男の子。
夜にいただいたガレットとシードルとクレープはとてもおいしく、
食後にハーブティーを飲みながら、アートや作品などについて語りました。
次の日の朝、遅く起きたらすでにHannaは食卓に。
Murielの哲学のこと、日本の大地震のこと、いろいろな話をしました。
そしてこどもたちと歩いて海岸へ。こどもたちは自転車に乗って。
枯れたすみれの花を手にとり「夏はすべてが紫色に染まるのをイメージして。美しいでしょう?
これはdoigts de sorcières(魔女の指)という名の植物よ」とMuriel。
緑の芝の大きな坂をみんなで駆け下りた先には海。
海、山、牛と馬とかもめ、風と光。
すべてがとても美しく、涙しそうになりました。
家に持ち帰った植物でちいさな作品をつくったり、
おりがみを一緒に、たのしそうなこどもたち。
太陽の光が、濡れた芝生を美しく光らせるおだやかな午後。
アーティストの友達とそのこどものTinoue(ティノー)も加わり、
みんなで山の中の教会へ。
Tinoueはまだ2歳半なのにきたない言葉を話すやんちゃな男の子。
4歳のLiamは「これはぼくの作品につかう!これも!これも!」と
落ち葉や木の実をや枝をちいさな手にいっぱいにして山を登ります。
教会の天井は船の底の素材でできておりました。教会から出て歩いていると、
Liamがぎゅっとわたしに抱きついてきて手をつないできました。
とてもあたたかな気持ちになりました。
言葉よりも何よりもうれしい瞬間でした。
●
その後、アーティストのお家でケーキをいただき、しばし休憩。
そしてあっという間に時は過ぎ、お別れの時。
Muriel家族が車で駅まで送ってくれ、こどもたちにキスをすると
彼らはブルトン語でKenavo!(
わたしの心は何重にも厚く、広く、あたたかくなった気がしました。
ありがとう、さようなら。また会おうね。
11月の半ば、パリはすっかりと寒くなりました。
最高気温7℃、最低気温3℃の寒さのなか、ウールのコートと
ブーツ、マフラー、そして手ぶくろまで必要なほどです。
わたしは来月の展示準備で非常に忙しい毎日を送っております。
散歩中に見つけた猫。アイデアを練る際はひたすら街を歩きます。
先月のことですが、ふと窓の外に目をやると映像作品が投影されておりました。
ここシテデザールでは、部屋を解放して作品展示をするオープンスタジオが
よくおこなわれており、この日もその展示日でした。
ここには310室もの部屋があり、各国から様々なアーティストが滞在しております。
窓を利用したこのシーンがすてきでした。
加えて、広い美術館もあります。
今月は写真月間ということもあり、写真のグループ展が開催されております。
“L’OEIL DE PETER KNAPP SUR LA PHOTOGRAPHIE CROATE”
Exposition du 11 octobre au 27 novembre 2012
マレ地区のGalerie thaddaeus ropac(ギャルリー・タデウス・ロパック)が
新しくPantinにオープンしたので、先日行ってまいりました。
まるで美術館のような広い空間に作品が贅沢に存在しております。
現在の展示はヨーゼフ・ボイスとアンゼルム・キーファー。
キーファーのすばらしい作品群に圧倒されます。
ボイスの展示には美しい白い馬がおりました。
展示は2013年1月27日まで。
Galerie thaddaeus ropac – Paris Pantin
Joseph Beuys “Iphigenie” & Anselm Kiefer “Die Ungeborenen”
10月18日〜21日、現代アートフェアcutlogが開催されました。
イタリア、ドイツ、イギリス、スイス、中国、日本など
各国のギャラリーが参加している国際的な現代アートフェアです。
今回わたしは、Galerie intuitiの招待作家として参加させていただきました。
オープニングレセプションでは会場にたくさんの人が集まり
たいへん密度の濃いフェアとなりました。
cutlog 2012
du 18 au 21 octobre 2012, à la Bourse de Commerce de Paris,
2 rue de Viarmes 75001 Paris.
先日開催されましたアートフェア “ Art O’Clock ” は無事に終了いたしました。
今年初めてスタートした今回、若いアーティストの作品が軒を連ねるように揃い
パリのギャラリーに並び、日本からは 東京画廊、ギャラリー小暮、hpgrp gallery、
gallery COEXIST-TOKYO の4つのギャラリーが出展いたしました。
Keiki Yamadaさんの作品の一部。
Yotaro Niwaさんの作品の一部。
そしてわたしの作品。
10月のアートフェアに出展が決まりました。
本格的に制作が始まり、一ヶ月ほどが経ちました。
現在、アートフェアに出品する作品を制作しております。
草や花、種や茎などを乾燥させ、材料にしています。
細く削ったチャコールペンシルで昆虫のかたちを描き、
胴体や翅の部分を草花と調和させます。
来週9/20〜9/22、パリのラ・デファンスで開催されるアートフェアに参加します。
20日の19:00よりレセプションパーティーがございます。
レセプションパーティー :
9/20(木) 19:00〜
会期 :
9/20(木)・9/21(金) 10:30〜19:00
9/22(土) 10:30〜18:30
La Défense – Cnit (hall Brillat-Savarin)
Métro 1 La Défense Grande Arche – RER A La Défense Grande Arche
Voiture Pont de Neuilly – La Défense (parking visiteurs Cnit)
– – – –
Je participe à la foire d’art contemporain du 20 au 22 septembre.
Nous organisons le vernissage le 20 septembre, à partir de 19h.
Vernissage :
Jeudi 20 septembre, à partir de 19h
Exposition :
Jeudi 20, vendredi 21 septembre de 10h30 à 19h00
Samedi 22 septembre de 10h30 à 18h30
La Défense – Cnit (hall Brillat-Savarin)
Métro 1 La Défense Grande Arche – RER A La Défense Grande Arche
Voiture Pont de Neuilly – La Défense (parking visiteurs Cnit)
パリから電車で30分ほどの場所にポワシーという街があります。
駅から歩いて20分もすると、よく教科書で目にしていましたスイスの建築家
ル・コルビュジエのVilla Savoye(サヴォワ邸)が佇んでおります。
中に入ると、まずは青い壁に黒いソファ。
天にも昇るような座り心地。
自然光がやさしく入り込むバスルーム。
ガラス張りの屋上から。外と中が交差します。
さまざまな隙間に人が見え隠れするのはとても興味深いです。
彼のデザインは人が住むことで活きるのだと実感しました。
ひらけた屋上の正面には大きなガラス張りの部屋。
キッチンの流し。気持ちよく料理ができそうです。
排水溝にも白いタイル。
電気のスイッチのデザインもすてきです。
帰り際に出会いました、Gendarme(ジョンダルム)という虫。
この虫も人も、みんな暮らしの場所を見つけているのですね。
わたしはこの先どの国に、どの街に、どんな家に住むのでしょう。
そんなことを考えながら、夏の夕暮れをぼんやりと眺めていました。
森からサヴォワ邸のドアまでコマ撮りしました。
フランス南東部のリヨンからほど近い街、サンヴァリエ。
前から気になっておりました、Le Palais Idéal de Ferdinand Cheval
(シュヴァルの理想宮)を見に行ってまいりました。
1879年のある日、郵便配達員のフェルディナン・シュヴァル氏が
いつものように仕事をしていたところ、石につまずいてしまいました。
そのふしぎなかたちの石に魅了され、33年の月日を経てこの城塞が完成したそうです。
その姿はまるで生きもののようです。
外にも中にも、彼の残した多くのメッセージが刻まれております。
鳥のような魚のような羊のようなヘビのような。
そんな生きものの姿が随所に見受けられます。
« 生命の泉で、わたしの才能を描いた »
彼は、農民階級の中にも天才が存在したことを証明したかったのです。
自分の棺をここに納めたかったのでしょうか。
命が宿っているかように、彼の訴えをひしひしと感じました。
照りつける日差しがくっきりとかたちづくる影を見ながら。
先月は1週間、イタリアへ行ってまいりました。
レッコ。この湖は人という漢字のかたちをしたコモ湖です。
岩山がそびえたち、澄みわたった空気があたりを満たします。
お花のゆびわをつくってみたり。
ベルガモ。ケーブルカーでのぼり、丘から見下ろす家々。
壁を這うトカゲ。
水の都、ヴェネツィア。ほんとうに美しい街です。
太陽がまぶしく、景色の輪郭をくっきりと際立たせてくれます。
パリでは見かけない洗濯物のある風景。
はためく生地たちが、新鮮でなんとも美しいのです。
マルシェには魚と同じ感覚でカタツムリが売られておりました。
調理されたものをいただきましたが、
少々苦みのある、おつまみといったところでしょうか。
蜂が魚にくちづけをしているところ。
そしてミラノ。すてきなインテリアショップ、
ROSSANA ORLANDIへ。お庭に広がるぶどうの樹。
すすで汚れた工具は、なんとチョコレートでできておりました。
そして、Astier de Villatteのお皿。
温かい心に触れ、人びとの笑顔を抱きしめて、
輝く星くずを拾い集めるような、そんなちいさな旅でした。
6月末からはじまりましたLe Tour de France(ツール・ド・フランス)。
先日はそのゴールを見に、凱旋門に行ってまいりました。
予想どおりの観客の数。壮快に走る選手たち。
皆、少しでも高いところから鑑賞したいようです。
立ち入り禁止区域に入りながら、仲良くバランスをとる夫婦。
少しでも高く。公衆電話によじのぼる少年。
どのようにのぼったのでしょうか。気になります。
ツール・ド・フランスグッズを身に付けて準備万端。
少しでも高く。大胆に、華麗に。
バランス感覚が鑑賞ポジションを選びますね。
先月のことになりますが、6月21日には、街中が音楽で溢れ出す
Fête de la musique(フェット・ドゥ・ラ・ミュージック)という
音楽のお祭りがございました。
夕方から深夜にかけて、公園や路上でたくさんの人々が演奏をする
とてもフランス的なイベントです。
アンバリッド(旧廃兵院)の前の芝生の上。
各々、踊ったり、歌ったり、お酒を飲んだりしながら楽しんでおりました。
路上には、ふたりの少年がロックギターを弾く姿。
よく見ると3階の窓からコードを垂らしてアンプにつないでいるのです。
ふたりを見守る母親の「これが最後よ」としかる声。
ビッグスターになれるといいね、とテレパシーをおくりました。
井上 織衣
Orie Inoue
2008年女子美術大学大学院修了。ファッション造形学科専任助手を務めた後、インスタレーション・イラスト・アニメーションなどの様々な媒体を通したアーティスト活動を行う。
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