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平成24年度パリ賞受賞の井上織衣さんにパリでの暮らしを紹介していただきます。
年末年始は、家族とともに過ごしました。
この時期、フランスでは一般的に、カキやフォアグラ、エスカルゴなどと一緒に乾杯します。
フォアグラには、いちじくジャムをほんの少し乗せ、塩・胡椒をふるととてもおいしいのです。
遠いところから来てくれた家族と一緒に過ごせるなんて、
新しい年のしあわせな幕開けに心がはずみました。
フランスのヴェズレーとディジョン、ジュラの旅。
遠くの丘の上、ブルゴーニュ地方のヴェズレーという街。
丘にたたずむ、サント=マドレーヌ大聖堂。
世界遺産にも登録されている美しく歴史的な教会です。
各々の柱には彫刻が刻まれており、
人や怪物がおりなす様々な物語をイメージしました。
外壁の上を見上げますと、おもしろい顔がたくさん並んでおります。
同じ顔はひとつとないのです。
夕日が差し込み、遠くから聞こえる誰かのギターの音が
なんともすてきな空間をつくっておりました。
移動中に少しだけ立ち寄りました、ディジョン。
そろそろと走り寄ってきました、白い馬。
別れ際、歯を剥き出しにし、まるで笑っているような顔をして。
シャトーシャロン。静かにたたずむ教会。
時間が止まってしまったかのような朝。ひとけのない美しい村。
雨も降らず、あたりは冬の太陽のあたたかな光に包まれておりました。
新年あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
井上 織衣
Orie Inoue
2008年女子美術大学大学院修了。ファッション造形学科専任助手を務めた後、インスタレーション・イラスト・アニメーションなどの様々な媒体を通したアーティスト活動を行う。
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