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本年度ミラノ賞受賞の宮園夕加さんにミラノでの暮らしを紹介していただきます。
最近のこと。
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スタジオのみんなとカラオケに行きました。
イタリアにもカラオケがあるのです! 発音もこのまま、カラオケ。
でも個室ではなくて、日本で言う温泉の宴会場みたいなかんじ。
カラオケにみんなで行った理由は、スタジオのスタッフの送別会をするため。
そしてこの会の企画者は、退社する子本人。イタリアでは“主役が幹事さん”になります。
(ちなみに誕生日も。自分の誕生日にケーキやお菓子をみんなにふるまいます。)
“今晩、カラオケ”
レストランにいるお客さん全員で歌うので、なかなかマイクは回って来ません。
曲と番号が一覧になっていて、紙に数字を書いて店員さんに渡します。
帰りはヴァレンティーナに車で送ってもらいました。ありがとう。
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実は、日本ではユニットとしても作家活動をしています。
→ girls
編集者の林央子さん(『here and there』発行人。著書に『拡張するファッション』『パリ・コレクション・インディビジュアルズ(1,2)』 など)のファン、という共通点で集まった4人です。
そのメンバーであり、画家・詩人の山口智子さんがミラノに来られ、一緒にベルリンへ行って来ました。
その旅の様子をとてもステキにブログにまとめくれていますので、ここで紹介します。
褒め上手な智子さん…。実際の私はそんなにしっかりしていないので、とてもとても恐縮なのですが…。
でもこの智子さんブログ、今の私にとっては宝物のような、お守りのような、そんな存在です。
朝から雨。
週一回、家の近所で開かれるメルカートへ野菜と果物を買いに行く予定がおジャンです。
そんな朝、“さっちん”こと、ヒライサチエさんから荷物が届きました。
さっちんは羊が大好きで、いつも原毛(羊の毛)を紡いでいた子。
材料でごった返した教室の片隅で、大量の原毛に埋もれながら、NHKの語学放送を聞きながら、いつも紡ぎ機の前にいました。
卒業後は北欧へ、羊に囲まれて、糸を紡ぎ、その糸で布を織ったり編んだり…。
作品も、生き方も、いつも純粋でストレートで正直。そして努力家。
そしてなんと、さっちんが送ってくれたもの、それは手編みの手袋!!
スウェーデンのエーランド島の羊の毛、とのこと。
手袋買いたいと思っていたんだけど、さっちん、どこからか見てた?w
スウェーデンで羊毛のことを沢山勉強してきたんだろうなぁ、と想像させてくれる同封してくれた冊子。
さっちんの人生が詰まったようなこの手袋、私の生活に入り込んで、そして馴染んでいくってすてきなことだなぁと思いました。
ミラノでは、主に月末の日曜日にいろいろな場所で蚤の市が開かれています。
いつもお世話になっている女子美イタリア支部の奈津子さんの旦那さまが蚤の市好きということで
いろいろな場所で開かれている蚤の市に車で連れて行って頂いています。
奈津子さんと、旦那さんであり舞台装置家のAntonioさん、とても素敵なお二人で、
ご自宅に招待して頂いたり、一緒にお食事したり、いろいろな場面で支えて頂いています。
感謝してもしきれない、自分が出世したら絶対恩返ししたいと思う方たちです。(その為にも頑張らないとね…。)
さて、蚤の市ですが、目のやり場に困るほど商品と店舗で溢れています。
行くたびにソワソワしてしまう私ですが、先日、奈津子さんからこんなお言葉を頂きました。
「本当に縁があるものは、ものが自分を呼んでくれる」
だから、焦る必要はないそうです。あぁそうか、と純粋にそう思いました。
思えば、ものに限らず、人も仕事もなんでも、そうだと思ったのです。
最近読んだ本の引用です。
人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。
選ぶ瞬間を夢見ている、と言った方が近いのかもしれない。
決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。
毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。
宮園 夕加
Yuuka Miyazono
2008年女子美術大学芸術学部ファッション造形学科卒業後、清原株式会社入社。
2010年第16回「日本ボタン大賞」グランプリ 経済産業大臣賞 受賞。
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