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本年度ミラノ賞受賞の宮園夕加さんにミラノでの暮らしを紹介していただきます。
イタリアでは一般的に、クリスマスは家族と、お正月は友だちや恋人と過ごします。
これを聞いて1人で過ごすクリスマスを覚悟していた12月のある日、
ミラノで知り合ったイタリア人の友だちから『我が家のクリスマスに招待するよ』という嬉しいメールが届きました。
『クリスマスはとにかくたくさん食べるから、その前の3日間は絶食しておいてね』 と冗談混じりの忠告付きで。
そして当日。
集合は13時、到着するとご両親、兄弟、いとこ、親戚…10人くらいの方々が温かく迎えてくれました。
そしてすぐにお昼ごはん。
“たくさんの時間をかけて作っても、食べ終わるのはあっという間”という説明の通り、
あっという間にごちそうたちがお腹の中に。写真を撮るのを忘れるほど美味しい料理でした。
(最後のクッキーのみ、撮影。)
つぎに、ビンゴのようなゲーム『tombola』
50セントと少しの額ですが、お金をかけているので大人も子供も必死です。
そうこうしていると、なんと!!!家にサンタさんがやってきました。
親戚の方の1人が、小さな子どものために変装してくれています。
それを分かっている私も一緒になって大喜び。
子供の頃、ずっと憧れ続けていたサンタさんにやっと出会えたような気がして、感動してしまったのです。
そしてなんと、私にもプレゼントがありました。
手紙の差出人には、招待してくれた友だちとそのご両親、弟さんの名前が。
親戚の方々からも個別にプレゼントがあり、大感激でした。
(イタリアではクリスマスに親しい人たちでプレゼントを交換します。
そのため、スタジオのみんなもクリスマス直前はプレゼント購入で忙しそうでした。)
とってもあたたかなクリスマスの風景ですが、実は、
ここにいたメンバーの中には、友人のおじさんの現在の奥様とその間の3歳くらいの子、
そして前の奥さんとその間の15歳の子、という関係性もありました。
イタリアは『拡大家族:前の結婚からの連れ子のいる夫婦を含む家族』という言葉が
日本よりも浸透しているそうです。
離婚や再婚を経験しても、それでもまた、みんなで楽しい時間を過ごせるイタリア人たちに
尊敬の思いを抱くと同時に、皆が各自宅に帰っていく別れ際、涙目になっているように見えた
15歳の子の背中を無意識に撫でてしまった私です。
他の国の文化を知ること、
それによって今まで自分が抱いていた価値観やコンプレックスが大きく揺さぶられます。
今まで『絶対だ』と思っていたものは、本当は不安定で変化していくものだったことを、
今ここで学んでいます。
宮園 夕加
Yuuka Miyazono
2008年女子美術大学芸術学部ファッション造形学科卒業後、清原株式会社入社。
2010年第16回「日本ボタン大賞」グランプリ 経済産業大臣賞 受賞。
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